ブラッド・ピット主演の待ち望んだ映画『アド アストラ』観てきました!フィルム撮影のどの一コマも計算され尽くした映像、マックスリヒターの心拍数と連動するかのような臨場感あふれる音楽、宇宙と人類、父と子の関係性を描いた今年映画館でみた20本の中で暫定ダントツ一位。壮大なスケールで本当に素晴らしかった!
幼い頃、わたしは宇宙飛行士になりたかったのです。空を眺め、宇宙の図鑑を眺め、いつか宇宙へ行くために一生懸命勉強しました。
その頃のわたしは、自分が宇宙の彼方から突然地球に放り込まれた異星人のように感じていて、きっといつか、あの遠い宇宙の彼方で本当に分かり合える、わたしを必要としてくれる仲間が待っているんだと信じて心の支えにしていたのです。
もちろん、船にも酔ってしまう、腕立てができないわたしが宇宙飛行士になれないことは、すぐにわかりましたが、漆黒の宇宙空間に身を置いてみたい強い憧れが、宇宙モノの映画に足を運ばせます。
『2001年宇宙の旅』は何回みたか、覚えていません。
『オデッセイ』も『インターステラー』も『ゼログラヴィティ』も4回ずつ観に行ったくらい。
闇と光の陰影。
宇宙では私たちが常に死と隣り合わせであることを強烈に意識させられます。
地球で当たり前の空気、水、重力、自然、いのち、意識の欠乏がもたらす宇宙空間の圧倒的な孤独感と恐怖と。
宇宙の空気をイメージするだけで、自分の感覚が研ぎ澄まされていくのです。
対比的に浮かび上がるのは鳥や風や川や植物に彩られた地球の美しさ。人の温かさ。
差し出された手の優しさ。
43億キロを旅してでも伝えたい想いを、ほとんどセリフのないブラッド・ピットが好演しています。
タランティーノの『ワンスアポンナタイムインハリウッド』のブラッド・ピットも魅力的だったけれど、泣きそうな孤独を抱えた表情のブラッド・ピットは折れてしまいそうに儚げで強靭な肉体とのアンバランスに心を掴まれてしまいます。
遠い宇宙の果ての旅。
もっとも遠い場所で見つけたのは、自分自身の「心」。
人類の未来を思いながら、いま、この美しい地球で、わたしは生きて、愛します。

