詩人でもあり大学教員でもあるダイアン・アッカーマンの『感覚の博物誌』

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「この世界は何と官能に満ちていることか」
から始まる、文字通り、古今東西、世界中から集めた「感覚」についての400ページ近い大作。

しばしば、「神様」はなんと太っ腹なのかと天を仰ぐことがある。
それはえもいわれぬ馥郁とした香りを嗅いだときや、
天井の音楽のハーモニーに心奪われ、音の粒子の中に溶け込んだとき、
大切に、官能的に、魂を撫でられたときに、
目に焼き付けたい風景の中で風を感じているときに。

わたしたち人間に、いえ、命あるものに、「感覚」を与えてくださったそのセンスの良さに感嘆する!

本書では「匂う」「触れる」「味わう」「聞く」「見る」「感じる(共感覚)」という、6つの感覚を取り上げ、古代からの宗教・美術・文学・音楽・慣習などから感覚について掘り下げている。

アロマセラピストかつタッチケアセラピストであるわたしには、「匂う」と「触れる」の章が興味深い。

「触れる」の章では、わたしも研修に訪れたアメリカのタッチセラピー研究所の同じ病院のNICUでのタッチセラピーについて詳細なレポートとともに、ティファニー・フィールド博士の有名なタッチ研究についても多くのページを割いて言及している。

思えばフィールド博士が強調する「しっかりした圧でのタッチ」を肌で感じたくて10年も前にはるばるマイアミに行ったことを思い出す。
保育器の中の小さな小さな赤ん坊へのタッチの温もりはまだこの手に残っている。
そして、あのとき思い描いたとおり、保育器の小さな命にタッチケアを届ける活動をしている。

生命のきめ細かい手触り。
私たちの心のありかはいずこへ。
感覚の中に、脳の中に、ハートの中に。

#読書記録 #タッチケア
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