宮古島から帰ってきて2週間が経とうとするのに、わたしはまだ島時間の中にいる。
日常の暮らしのどこにも欠けているものはないけれど、
あの透き通るエメラルドグリーンの海をどこかで探している。
湿ったような、濃い緑の森の甘やかな匂いを。
サンゴの海の豊穣ないのちを。
見上げた空の視界の端に捉えるサシバが、空を刻むのを。
古代と現代とをつなぐ異界の空間を。
生者と死者のための井戸に滴る水滴の音を。
宮古島の友から、2万羽のサシバ が渡りのために伊良部島に来ていると連絡がある。
今日のわたしは、長い旅の途中に伊良部島に集合した鷹が空中で織りなす鷹柱を一日中考えている。
まだ島時間の中にいる。