最近、寒さのせいもあって、
お客様みなさん、背中も肩も腰もガキガキに
こわばっておられます。
触れると、ガチっと音がしそうなくらい。


と、こう書いているわたしも
床暖房だけの部屋はあまりに寒く、
手がかじかんで肩もガチガチです。

ガチガチにからだをこわばらせているお客様が
コンサルテーションの時、
こういわれます。
「もう、ぐっぐっと思い切りきつ〜くしてや!」
特にクリニックにアロマを受けに来てくださる
年配の方は、もう判で押したように
この決めセリフ!

わたしがアロマセラピーのトリートメントで
用いているのはスウェディッシュマッサージがベースで、
とてもソフトな圧と流れるような手技を
大切にしています。
考え方は色々在ると思いますが、
肉体の表面にソフトに優しく働きかけることで
より深い部分の緊張をも表にだし、緊張を緩和し、
最終的には肉体と精神を解放して
クライアント自身の気づきになると
考えます。

もちろん、お客様の中には
「アロマセラピーのトリートメントって
こんなに優しいものだったんですね。
今までは痛いところばかりで・・・」
とお話しになる方や、包み込まれるような、
お母さんに抱かれているような安心感で
満たされる方もたくさんおられます。

おからだの状態によっては
ポイントポイントで、圧をかけたり、
ツボを刺激するような手技も行いますが、
基本的に、圧は弱め。


ギュウギュウ押してほしい!というお客様に
アロマセラピストの方は、どのように対応されて
いますか?
クイックマッサージに勤めていた知り合いは
『強め』リクエストに一生懸命応えようと
努力した結果、からだを壊し、店をやめることに
なってしまいました。
指や手首をいためることも多いようです。

お客様にはいろんな方がおられます。
それぞれの生きてきた時間や経験や思いも
異なり、もちろんアロマセラピーに期待する
ことも異なります。
様々な要望を受け入れ、
応えていきたい、という気持ちはありますが、
強すぎる圧はからだの機能を抑制してしまうことを
知っているからには、言われるままに圧を強めることも
できません。

きちんと時間をかけて、納得のいくご説明ができれば
いいのですが、時間も限られた中で
何を優先させることが良いのか。

無理です、できません、というのはたやすいことです。
またお客様の望まれるとおりに
グイグイと強い圧をかけることもたやすいこと。
せっかく足を運んでくださったお客様に
足の先から頭のてっぺんまで優しさに包まれる
アロマセラピーの良さを分かっていただきたい、
ガチガチのからだが楽になった喜びを感じて
満足してお帰りいただきたい、
でも気づきや目覚めを強要することはしたくない。


『北風と太陽』の童話、ご存知ですか?
旅人のコートをどちらがぬがせることができるか、
北風と太陽が競います。
北風は渾身の力をこめて、強い風をぴゅーぴゅーと
吹き付けます。
旅人はコートを飛ばされまいとして、きつく襟をあわせます。
太陽は、ただあたたかな日差しを旅人へ優しく
送ります。
ぽかぽかとこころもからだもあたたまった旅人は
重いコートを脱ぐのです。

正攻法で、理論を振りかざすのは北風かな?
力づくで誰かを変えようとしても
拒絶されてしまいますよね。
「太陽のように、こびることなく、自信と誇りを持って
あたたかなまなざしを送れるアロマセラピストで
いましょう」と
私の問いかけに、『北風と太陽』の童話を
引用して、先輩セラピストのAさんが答えて
くださいました。

私にとっての問題は「圧」をどうするか、
ではないということに気がつきました。
せっかちな私には、大きな課題ですが、
太陽のように相手を信じて、あたたかな
思いを送れるアロマセラピストを目ざします。
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